2026年8月26日に発生したネパールヒマラヤで起きた山津波は、典型的な巨大土石流であり、岩氷雪崩がきっかけとなって発生しました。
その物理プロセスは、海で発生する津波と同じです。標高5,200mから氷河と岩盤が崩れ、巨大な土石流は水平方向に約22㎞進み、崩落から6–7分後には国境検問所(標高1,800m)に到達しました。このとき、国境付近での速度は180㎞/時に達しています。また、国境付近でできた堰止め湖は小さく、決壊までには時間的余裕があるとされています。
小ヒマラヤではなく、大ヒマラヤ山脈で起きた今回の地滑りは、2011年に日本で発生した3.11の東北大津波と物理的には全く同じ現象です。東北で発生したのは海津波ですが、重力不安定の原因となっていた割れかけの岩盤が破壊崩落したものでした。これは新聞等で報じられていない、大規模津波発生のもう一つの原因なのです。
問題は、雪でなく、高温の大洪水がなぜ起きたのかという点でしょう。その原因は、偏西風のΩ型の大蛇行(亜熱帯の大気がヒマラヤに達した)にあります。

※この図は模式図であり、実際の地形・分布等を厳密に再現したものではありません。
20–30年前にも同様な偏西風の大蛇行が起きて、日本列島もその中に入り、東北日本を線状降水帯が襲いました。日本列島の伸びの方向と降水帯の伸びが一致したために起きた大洪水によって、堤防が壊れた災害を覚えているでしょう。こうした偏西風の大蛇行は、西太平洋の海域(インドネシア中心)の海水が暖められて、西太平洋地域が高温になるエルニーニョ現象が原因となり発生します。
偏西風の蛇行は、東南アジア付近で北に凸型となる高温域の張り出しと同じく、さらに西側ではヨーロッパ西部のΩ型張り出し(共に酷暑、パリ盆地など)と対になって、その中間域では逆に南側へ低温域が張り出して冷夏になります。結局、地球平均気温は変化せず、海水準は過去100年間ほぼ同じであり、静止衛星で測定しても20㎝程度の上昇のままに過ぎないことには気をつけるべきです。いずれにせよ、エルニーニョ現象が過ぎると、高温の水塊が南米ペルー沖に移動すると平常に戻ります。